17年間にわたり5,000人を対象にした健康調査、「中之条研究」でわかった健康と長寿の黄金律

「1日8000 歩・20分の速歩き」があらゆる病気を遠ざける

青栁 幸利

5. 個人の健康と社会のためにも「一日8000歩・20分」を

前述したように、もっとも簡単な中強度活動は「速歩き」です。つまり、「一日平均8000歩・一日平均中強度活動20分」は、特別なトレーニングではなく、多くの人がちょっとした心がけで日常生活に取り入れられる、普遍的でかつ有効な健康の指標です。

私は中之条町の方々が長い時間をかけて実証してくれたこの指標を、個人が自分の健康のためにだけ取り入れるのではなく、社会全体で取り入れてほしいと願っています。

というのは、個々人が健康になれば国全体の医療費が削減され、その削減された分を新たな医療技術の開発や介護に回すなど、有効活用していくべきだと考えているからです。

老化や病気を防ぐために、高齢者はいうまでもなく、現役世代の人たちも今から「一日平均8000歩・一日平均中強度活動時間20分以上」を意識することをお願いします。

中強度の運動の種類は問いませんが、やはり速歩きがもっとも手軽で、ずっと続けられる運動だといえます。速歩きの場合は、「大股で速く、力強く歩く」。運動強度のわかる身体活動計は、数千円で市販されていますので、それを一日中携帯すれば、一日の歩数はもちろん、どの程度の強度で活動したのかなども一目でわかります。身体活動計がなくても、「歌は歌えないけれども、なんとか人と会話ができる程度の歩き方」を意識し、社会のためにも「一日平均8000歩・一日平均中強度活動時間20分以上」に取り組んでほしいと思います。


※本コンテンツはCOCORO 16号をもとに再構成しています


青栁 幸利 (あおやぎ ゆきとし)
東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム副部長、運動科学研究室長。医学博士。1962年、群馬県中之条町生まれ。筑波大学卒業、トロント大学大学院医学系研究科博士課程修了。群馬県中之条町の六十五歳以上の住民5,000人を対象に、17年間にわたり、身体活動と病気予防の関係についての調査(中之条研究)を実施。中之条研究の成果を踏まえ、「一日平均8,000歩・一日平均中強度活動20分」を提唱。万病を防ぐ新常識の健康法として、テレビなどで話題となった。主な著書に『やってはいけないウォーキング』『あらゆる病気は歩くだけで治る!』『図解でわかる! やってはいけないウォーキング』(すべてSBクリエイティブ)など数十冊がある。