17年間にわたり5,000人を対象にした健康調査、「中之条研究」でわかった健康と長寿の黄金律

「1日8000 歩・20分の速歩き」があらゆる病気を遠ざける

青栁 幸利

4. 多ければ多いほどよいというわけではない。ベストは「一日8000歩・20分」

こうしてみると、歩数や中強度活動量が多ければ多いほど健康になれると考えてしまうかもしれません。しかし私の中之条研究では、「歩数や中強度活動量が多ければ多いほど、健康によいというわけではない」ということもわかりました。

というのは、病気の予防効果に関していえば、「一日平均1万2000歩・一日平均中強度活動時間40分」で頭打ちとなり、「一日平均8000歩・一日平均中強度活動時間20分」との差はわずかだったからです。むしろ過度な運動はストレスになって免疫機能を下げると考えられます。

こうしたことから、私は「一日平均8000歩・一日平均中強度活動時間20分」が健康のためには最適の活動量だという結論を導き出しました。

この調査を行ってから身体活動計を携帯した人の多くで、健康に対する意識の変化がみられました。例えば、スーパーの駐車場ではわざと遠いところに停めて歩く距離を増やす。掃除機の本体を手で持って掃除をするなどです。

中には、以前よりも現在のほうが身体的にも精神的にも元気で、健康診断の結果がよいという人もいます。また、「一日平均7000歩・一日平均中強度活動時間15分以上」のグループでは、バランスのよい食事をとっている人が多いこともわかりました。

こうしたことから、活動量を上げることが健康への意識を高め、自然と食生活など、ほかの生活習慣の改善にも結びついているのではないかということが考えられます。



※本コンテンツはCOCORO 16号をもとに再構成しています


青栁 幸利 (あおやぎ ゆきとし)
東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム副部長、運動科学研究室長。医学博士。1962年、群馬県中之条町生まれ。筑波大学卒業、トロント大学大学院医学系研究科博士課程修了。群馬県中之条町の六十五歳以上の住民5,000人を対象に、17年間にわたり、身体活動と病気予防の関係についての調査(中之条研究)を実施。中之条研究の成果を踏まえ、「一日平均8,000歩・一日平均中強度活動20分」を提唱。万病を防ぐ新常識の健康法として、テレビなどで話題となった。主な著書に『やってはいけないウォーキング』『あらゆる病気は歩くだけで治る!』『図解でわかる! やってはいけないウォーキング』(すべてSBクリエイティブ)など数十冊がある。