誰もが高齢者になる時代は、 介護との向き合い方を見つめ直す時代

飯野三紀子

人生100年時代は、誰もが高齢者になる時代。高齢になれば介護を必要とする人も、介護をする人も増える。いわば人生100年時代は、誰もが介護と関わらなければならない時代だ。自らも介護経験を持ち、ケアライフコンサルタントとして相談者に介護に対するアドバイスを続ける飯野三紀子さんに、これからの介護について話していただいた。

5. 自分が望む介護を決めておく介護版「人生会議」のすすめ

人生100年時代は、誰もが高齢者になってしまう可能性が高い時代です。一生が長くなれば否応なく「誰かを介護をする可能性」も「自分が介護をされる可能性」も高くなります。
そういう時代にあって、「介護は避けて通りたいもの」「仕方なくするもの」と考えるのは、もう時代錯誤です。
避けて通ることができない介護なら、そこにやり甲斐を見出して、人生の充実につなげていく。こういう積極的な考え
 
また、冒頭で述べたミックジャガーの例ではありませんが、高齢者も人それぞれです。私たちはモデル化された高齢者のイメージで生きる必要はないのです。
ですから、自分に介護が必要になったとき、どのような介護を受けたいのか、まだ元気なうちに自分らしさを保った「自分にとっての理想の介護」についても決めておくべきだと思います。
 
厚生労働省は、自分が望む最期の迎え方を決めて、医療従事者と共有しておく「人生会議(ACP、Advance Care Planning)を推進しています。
私は介護についてもこの「人生会議」をして、自分が望む介護を決めておくべきだと考えています。いわば介護版の「人生会議」です。
介護版の「人生会議」では、介護が必要になった場合をリアルに想定して、自分の介護をしてくれる家族や信頼できる人と話し合い、共有しておく。これをしておけば「ある日」「突然」に「予告なく」介護が必要になっても安心ですし、大切な家族をいたずらにもうろたえさせることもないでしょう。
「今からそんな先のことを……」という人もいるかもしれません。しかし、もうそこまで考えておく必要がある時代がきていると思います。
 
ここまで介護について述べてきましたが、私たちは誰もが高齢者になる時代を生きています。それを踏まえて、介護との向き合い方を深く見つめ直してほしいと思います。結局はそれが自分らしく生きて、自分らしい人生を見事に締めくくることにつながるのですから。

飯野三紀子著
『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』(方丈社)
『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(方丈社)

ぜんぶライフ「介護離職を防ぐには」第1章へ
飯野三紀子 (いいの・みきこ)
(社)介護離職防止対策促進機構理事。ココロとカラダのケアラボ主宰。
企業の人事部を経て、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして従事。2000 年に叔母、叔父、母などの介護が次々始まり5人の介護と4人の看取りを経験。介護離職を機に独立し、現在も要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「キャリアや介護と仕事の両立」支援を行なっている。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ相談に従事。介護者と認知症当事者が集う場として「ここからカフェ」を毎月開催。
著書に『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(いずれも方丈社)がある。