誰もが高齢者になる時代は、 介護との向き合い方を見つめ直す時代

飯野三紀子

人生100年時代は、誰もが高齢者になる時代。高齢になれば介護を必要とする人も、介護をする人も増える。いわば人生100年時代は、誰もが介護と関わらなければならない時代だ。自らも介護経験を持ち、ケアライフコンサルタントとして相談者に介護に対するアドバイスを続ける飯野三紀子さんに、これからの介護について話していただいた。

4. 介護をジョブ・クラフティングする

介護を学びのチャンスにするには、介護をジョブ・クラフティングしてみるのも一つの有効な方法です。
 
ジョブ・クラフティングとは、「やらされ感満載の仕事」や退屈と思う作業を、働く人自身が自分の意思で新しい視点を取り込んで仕事を再定義し、「やりがいのある仕事」に変える手法のこと。働く人一人ひとりが仕事に対する認知や行動を自ら主体的に修正していく、今ビジネスの世界で注目の手法です。
 
いつ終わるともわからない介護を「やらされ感満載」で続けていては、毎日が面白くなく、自分の人生をつまらないものにしてしまいかねません。
自分の人生をこうしたことにしないためにも、これからの時代は一人ひとりが介護に新しい視点を取り込んで介護を再定義し、介護を「やりがいのあること」に変容させ、自分の人生を充実させていくことが重要だと思います。
 
例えばあなたが親の介護をするようになったとき、車椅子や歩行器などの介護用品に関心を持ってみる。介護食の栄養や調理法に関心を持ってみる。あるいは介護を受けている人の心の変わり方、体の変わり方を観察してみる……。どんなことでもいいので、自分がやっている介護から派生するさまざまなことに関心を広げてみるのです。
 
関心を持てば視点が変わり、視点が変われば発見があります。発見は新しい知識で、知識を得ることは喜びにつながります。
ジョブ・クラフティングの目的は、仕方なくやっている仕事を見直して、能動的に向き合うように変容させることです。人間は物事に能動的になると、自己効力感が高まり、自信がわいてやりがいを感じられるようになります。
このように介護をジョブ・クラフティングして、「やらされ介護」を「生(なま)の学習という報酬が得られる、やり甲斐がのある介護」に変えいく。今はそういう時代だと思います。
飯野三紀子 (いいの・みきこ)
(社)介護離職防止対策促進機構理事。ココロとカラダのケアラボ主宰。
企業の人事部を経て、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして従事。2000 年に叔母、叔父、母などの介護が次々始まり5人の介護と4人の看取りを経験。介護離職を機に独立し、現在も要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「キャリアや介護と仕事の両立」支援を行なっている。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ相談に従事。介護者と認知症当事者が集う場として「ここからカフェ」を毎月開催。
著書に『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(いずれも方丈社)がある。