誰もが高齢者になる時代は、 介護との向き合い方を見つめ直す時代

飯野三紀子

人生100年時代は、誰もが高齢者になる時代。高齢になれば介護を必要とする人も、介護をする人も増える。いわば人生100年時代は、誰もが介護と関わらなければならない時代だ。自らも介護経験を持ち、ケアライフコンサルタントとして相談者に介護に対するアドバイスを続ける飯野三紀子さんに、これからの介護について話していただいた。

1. 老いることをイメージしにくい時代

みなさんは「おじいさん」という言葉からどのような姿をイメージしますか。
腰が曲がって、杖をついて歩くおじいさんでしょうか。おじいさんは何が好きで、どのような考え方を持っているのか、具体的にイメージできるでしょうか。
 
大都市への人口集中と核家族化が進み、サザエさん一家のような3世代が同居する大家族はすっかり減ってしまいました。
3世代同居の大家族には、身近におじいさんやおばあさんがいるので、子や孫は老いを身近に感じ、自然に老いを学ぶことができました。しかし今の日本では、それが簡単なことではなくなりました。
 
核家族化が進んで老いのモデルが身近にいないことは、私たちが描く老いのモデルを標本化させてしまいます。中にはロックが好きな高齢者もいるのに、「高齢者は演歌と民謡が好き」といった具合です。
 
 しかし、あのローリングストーンズのミックジャガーは、今年80歳。誰が見ても立派な高齢者です。日本の高齢者の中にも、彼の歌を聞いて生きてきた人たちがたくさんいます。
これはほんの一例にすぎませんが、高齢者も人それぞれ、それぞれの老い方をしています。高齢者はみな腰が曲がって、杖をついて歩いているわけではないのです。
 
核家族化が促したことは老いのモデルの標本化だけではありません。自分もやがては高齢者になること、そして、どのようなプロセスをたどって介護を受ける可能性が出てくるのかを実感しにくくさせています。 

飯野三紀子 (いいの・みきこ)
(社)介護離職防止対策促進機構理事。ココロとカラダのケアラボ主宰。
企業の人事部を経て、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして従事。2000 年に叔母、叔父、母などの介護が次々始まり5人の介護と4人の看取りを経験。介護離職を機に独立し、現在も要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「キャリアや介護と仕事の両立」支援を行なっている。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ相談に従事。介護者と認知症当事者が集う場として「ここからカフェ」を毎月開催。
著書に『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(いずれも方丈社)がある。