誰もが高齢者になる時代は、 介護との向き合い方を見つめ直す時代

飯野三紀子

人生100年時代は、誰もが高齢者になる時代。高齢になれば介護を必要とする人も、介護をする人も増える。いわば人生100年時代は、誰もが介護と関わらなければならない時代だ。自らも介護経験を持ち、ケアライフコンサルタントとして相談者に介護に対するアドバイスを続ける飯野三紀子さんに、これからの介護について話していただいた。

2. 介護は「ある日」「突然」に「予告なく」やってくる

老いることをイメージしにくい時代になったとはいえ、人は誰でも平等に年をとり必ず衰えていくのは厳然たる事実です。
実際、60歳以上の5人に1人が何らかの支援や介護を受けていますし、人生100年時代で今後さらに寿命が延びることを考えれば、「自分もいずれ高齢者になり、介護が必要になる」と覚悟しておくべきですし、今から自分が介護を受けるときを想定して、その準備をしておくことはむしろ当然のことと言ってよい時代なのです。
 
高齢になると、「ある日」「突然」に「予告なく」介護が必要になるときがやってきます。
例えば、若い人ならつまずかない段差でも高齢者はつまずきます。若いうちは反射的にバランスをとれますが、高齢者は簡単に転んでしまいます。転んだだけではすまず、骨が脆くなっているので骨折します。
高齢者が転倒して大腿骨を骨折、歩行困難で寝たきりに……、こんな例は決して珍しいことではありません。
昨日まで自分のことは自分でできていた高齢者が、ある日突然に予告もなく「要介護者」になってしまう。その可能性は他人事(ひとごと)ではないのです。
 
自分の親が突然に要介護者になると、何から手を着けていいのかわからず、慌てふためくのは当然のことです。
そういう介護経験のない人のために、これまで介護保険の仕組みや介護情報、介護のテクニックなどを解説した本が数多く刊行されてきました。
その後、「介護と仕事の両立」にポイントを置いた書籍も見かけるようになりましたが、そうした介護情報はたくさんネットにアップされるようになり、検索すれば簡単に入手できます。
 
介護情報を収集したり、介護と仕事の両立の方法を知ることを中心とした時代を、介護者にとってのファーストステージとするなら、今は介護に取り組む姿勢とその経験を自分の人生に活かすことを考えるセカンドステージが到来したといってよいでしょう。 

飯野三紀子 (いいの・みきこ)
(社)介護離職防止対策促進機構理事。ココロとカラダのケアラボ主宰。
企業の人事部を経て、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして従事。2000 年に叔母、叔父、母などの介護が次々始まり5人の介護と4人の看取りを経験。介護離職を機に独立し、現在も要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「キャリアや介護と仕事の両立」支援を行なっている。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ相談に従事。介護者と認知症当事者が集う場として「ここからカフェ」を毎月開催。
著書に『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(いずれも方丈社)がある。