介護離職を防ぐには

飯野 三紀子

介護離職をせず、介護と仕事を両立するために、働く皆様にとっていただきたい行動、心に留めておいていただきたい事柄について5回に分けて掲載します。

4. 介護はマネジメントと捉える

ただし、一点だけ気をつけていただきたいことがあります。
「仕事をしながらの介護は無理ではないか……」と介護離職を考えている方に、ややもすると「(離職の)背中を押すようなアドバイス」をしてしまうことです。
「介護も立派な仕事だよ」などと、声をかけてしまう。もちろんそういったアドバイスは、介護者を励ます意味で発せられるのですが、介護者が仕事との両立をあきらめて会社を辞め、介護に没頭してしまう危険があります。

「全部自分が介護を(立派な仕事として)やってあげなくちゃ」と、考えてしまうのです。

介護は仕事ではありません。介護が仕事であるのは、介護職の方々です。会社で働きながら介護をする方々は、いわば介護を「マネジメント」していく立場です。職場や行政、地域ボランティア、家族同士と連携をとって「どうすれば、いちばんいい介護環境になるか」を考え、選択していくのです。
 介護職のプロにやってもらえることは、プロに任せる。介護を全部自分で抱え込まない。マネジメントというと、冷たい印象を持たれるかもしれませんが、要介護者にとってのベストを考えるという意味で、あたたかいマネジメントを目指せばいいのです。「しっかり任せられるプロを選ぶ」ということだけでも、あたたかいマネジメントになるはずです。
仕事でしっかりマネジメントできる方が、家族介護のマネジメントができないことはありません。自分のキャリアプランの中に介護プランも組み込んでいけばいいのです。


※本コンテンツはCOCORO 4号をもとに再構成しています


飯野 三紀子 (いいの みきこ)
(社)介護離職防止対策促進機構理事。ココロとカラダのケアラボ主宰。
企業の人事部を経て、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして従事。2000 年に叔母、叔父、母などの介護が次々始まり5人の介護と4人の看取りを経験。介護離職を機に独立し、現在も要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「キャリアや介護と仕事の両立」支援を行なっている。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ相談に従事。介護者と認知症当事者が集う場として「ここからカフェ」を毎月開催。
著書に『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(いずれも方丈社)がある。