介護離職を防ぐには

飯野 三紀子

介護離職をせず、介護と仕事を両立するために、働く皆様にとっていただきたい行動、心に留めておいていただきたい事柄について5回に分けて掲載します。

2. 介護に直面したら 会社に報告を

そして、介護と仕事の両立で大切なことは、「会社にきちんと報告する」ことです。介護がはじまると、初期は関係各所と連絡を取り合って、手続きなど処理しなければならない課題が山積します。手続きは仕事をしている平日になりますから、仕事中に処理をすることになります。そんなことを隠して仕事をしていては、「きちんと仕事をしていない」と、周囲は首をかしげてしまいます。会社に介護の報告をせずに仕事をしていても、ストレスは溜まる一方です。

介護がはじまると「会社に迷惑をかけてしまう」「自分の評価が下がってしまうのではないか」「介護は家庭の問題。会社は関係ないのでは」と、
考えてしまうかもしれません。会社への報告を躊躇して、ひとりで問題を抱え込んでしまうと、本当は仕事と両立できたはずなのに、思いつめて突然離職してしまった……ということにもなりかねません。
介護は誰もが通る道です。恥ずかしいことでも、自分だけで抱えることでもありません。どうか会社にきちんと報告してください。私は、各企業の人事部に「介護離職を防ぐこと。介護と仕事の両立を支援すること」を日ごろから説いていますが、今は会社も介護の重要性を認識しはじめています。
上司、そして人事部に相談しましょう。時短制度を使って介護ができる制度があるかもしれませんし、テレワーク制度を使って週の何日かは自宅で仕事ができるかもしれない。
どうか気後れすることなく、カミングアウトしてください。会社にとっても、介護離職を防ぐことは、今や大切なリスクマネジメントなのですから。

それは、制度が整った大手企業に限りません。中小企業には中小企業のよさがあります。それは「全社員のことをよく理解している」という環境です。社員の間でしっかりコミュニケーションがとれていると、お互いの家庭環境を知っているケースも多いでしょう。「自分の職場では介護と仕事の両立は難しいだろう」と、まずは勝手に思いこまないことです。


※本コンテンツはCOCORO 4号をもとに再構成しています

飯野 三紀子 (いいの みきこ)
(社)介護離職防止対策促進機構理事。ココロとカラダのケアラボ主宰。
企業の人事部を経て、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして従事。2000 年に叔母、叔父、母などの介護が次々始まり5人の介護と4人の看取りを経験。介護離職を機に独立し、現在も要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「キャリアや介護と仕事の両立」支援を行なっている。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ相談に従事。介護者と認知症当事者が集う場として「ここからカフェ」を毎月開催。
著書に『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(いずれも方丈社)がある。