介護離職を防ぐには

飯野 三紀子

介護離職をせず、介護と仕事を両立するために、働く皆様にとっていただきたい行動、心に留めておいていただきたい事柄について5回に分けて掲載します。

3. メンタル面をしっかりケアするということ

地域包括支援センターに相談すると「どうすればいいか」という情報と手続きを教えてくれます。そうして介護がはじまります。その次に来るのは、先にも述べましたが、やはり心の問題です。
会社を休むにしても、出産や育児ならハッピーなことですから、周囲の理解も得やすいでしょう。でも、介護となると残念ながら「おめでとう」とはなりません。たとえば認知症で徘徊してしまうといった心配事があったりすると、ついつい口を閉ざしてしまう気持ちは、よく分かります。介護者(介護をする人)と要介護者の間で、感情的に上手くいかないことも出てくるでしょう。
しかし、介護は長期にわたりますから、どうか自分のメンタル面を大切にしてください。会社に一度報告すれば終わりではなく、つねに周囲に報告する、相談するというスタンスを忘れないでください。
介護は終わりが見えないと、よくいわれます。しかも介護度(~段階)が時間の経過とともに変わってくるため、「施設に入れたほうがいいのか」などと新しい課題も生まれてきます。職場のデスクで仕事をしていても、延々とつづく介護のことで頭がいっぱいになってしまうかもしれません。
ですから、会社の人事部はもちろん、職場の上司や同僚の方々にも、「介護者を周囲でしっかりサポートする」という認識を持ってもらいたいと思います。もしも、周囲に介護の経験者がいらっしゃるなら、どうか話を聴いて問題を共有してく
ださい。介護者本人が「介護の悩みは、自分だけじゃないんだ」と思えることは、大きなサポートになるはずです。


※本コンテンツはCOCORO 4号をもとに再構成しています

飯野 三紀子 (いいの みきこ)
(社)介護離職防止対策促進機構理事。ココロとカラダのケアラボ主宰。
企業の人事部を経て、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして従事。2000 年に叔母、叔父、母などの介護が次々始まり5人の介護と4人の看取りを経験。介護離職を機に独立し、現在も要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「キャリアや介護と仕事の両立」支援を行なっている。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ相談に従事。介護者と認知症当事者が集う場として「ここからカフェ」を毎月開催。
著書に『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』『やりがいある介護・後悔しない介護 ケアライフコンサルタントが考えるしあわせ人生のつくり方』(いずれも方丈社)がある。